ともしび
きのうは京都に行ってきました。
妻のおとうさん、おかあさんの長年大変お世話になっているご夫婦で
家族ぐるみで本当の親戚のようなお付き合いをさせていただいています。
ご主人のほうが体調をくずし入院して、お見舞いにいきました。
正直、容態はあまりよくなく回復は難しい状態です・・・。
お年も80歳を超えておられます。
体中を管でつながれ、酸素マスクを常時つけた状態です。
でも意識ははっきりされてて話しかけるととてもよくわかっておられます。
我々が来たのもすぐわかったようで、少し興奮気味でした。
マスクを外したがられるんですが、危険な状態にもなりかねないので
簡単には外せません。
それでもご本人がどうしても、というゼスチャーをされるので少しだけ
外すことに・・・。
酸素の量をチェックしながら・・・外し、口にわずかな水を含ませます。
その時、奥さまのほうが「おとうさん、みんなきてくださったよ。
よかったね。」と言われました。
ご主人さんはニコッと笑ってくださいました。
病室が一瞬にして明るくなりました。
いい笑顔でした。
今まで張り詰めていた空気が、パッと変わった瞬間でした・・・。
来てよかった。
あの笑顔を見れただけで何もかもがあたたかく包まれやさしい空気が
流れた瞬間でした・・。
あまりの重態を目の前に妻のおとうさんもおかあさんもわたしも言葉を
失い、目をうるませ、やるせない気持ちでしたが、その方は私たちに
「愛」を送ってくださいました。
小さい、小さい、吹いたら消えそうな「ともしび」ですが、大事に
大事に守りたい。そんな「ともしび」です。
言葉は一言も話せませんが私たちの手を強くにぎり、「よく来てくれたね。
ありがとう。ありがとう。」という言葉が伝わってくるようでした。
「こちらこそありがとうございます。ありがとうございます。」
思わず言葉で返していました。
おかあさんも泣きながら「おとうさん、またくるよ。またくるよ。」と
言っていました。
命にもし炎というのがあるとしたら、その時の炎は力強くはなかったけど
とても安らぐみんなをほんのりあたたかくしてくれる炎でした。
そしていつまでも、いつまでも、きっと消えることのない炎として
これからも私たちの心の中で燃え続けてくれる、と思いました。
今度はまた家族みんなでお見舞いに行きますから、どうか楽しみにしていて
ください。
それと無理しないでくださいね・・・。
お大事に。